RUH:SIDE
「昼休みの委員会の集まり終わった?折は?」
「来てない」
「早退?すっぽかした?どっちにせよお前の委員会サボるなんて度胸あるな。」
「学校、来てないんだって」
「ああ、風邪じゃん。あいつ弱々しそうだからなー」
「それと・・・蒼園 晴も学校来てないみたいなんだよね」
気に食わない。
折と晴が学校を無断欠席して2日目。
晴をあそこまで嫌っている折が、
どうして学校以外で彼と付き合うのか。
彼を油断させておいての策略というか、
折は無意識のうちに晴を許しつつあり心を開いている。
これでは不味い。
このままでは、折はずるずると晴の味方に付き
計画が台無しになってしまう。
流雨の計画を成功させるには、折が鍵なのだ。
折がしっかり動いてくれなければならない。
そのためにはどうにかして折をこちら側に付けなければ。
しかし、晴も厄介だ。
ただの馬鹿だと思っていたが、
こいつには人を動かす力がある。
力というか、馬鹿である故か。
折は、その正直者で裏表がない性格の彼に惹かれたのだろう。
晴は馬鹿だし、嵌めて陥れてやれば
折もこっち側に付くはずだ。
「くっそ。厄介だな蒼園 晴。」
「まーどうにかなるでしょ。馬鹿そうだし」
「俺はどうにかするよ。だから馬鹿は嫌いなんだよ」
「落ち着けって流雨・・・」
「俺はいつでも冷静だよ。」
「ああ、そう・・・てか午後の授業サボろーぜ」
「そういう気分じゃないから今日は授業出るよ。」
「あーそう、じゃ流雨が出るんなら俺も出よ。」
(授業、久しぶりに出るな。てかクラスに入るのが久しぶりかも。)
授業に出ているといっても、特にノートを取る事はしていないが。
クラスにさえ来ない流雨は友達は殆どいない。
けれども爽と晴と折と天が友達というわけでもない。
その4人は面白いから付き合っているだけだ。
だから正確には友達は一人もいない。
いないというか作らない主義であるのだが。
クラスにいなければならない以上は、
友達の一人でもいないと流石にきついが、
頭が良い流雨は授業に出る必要がないので、
よってクラスにいなければならない必要もない。
授業に出なければ単位をもらえないはずだが、
流雨はテストでは毎回、学年一位で
全国模試でも二桁に入る。
それにレポートなどの提出物も出しているし、
最低限やらなければならないことはやっているので
校長と理事長に見込まれて特別扱いをしてもらっていた。
なので、あまり頭が良くない爽は、
授業に出るのでクラスに友達がいるようだった。
前に一度、爽の"友達"という奴等と一緒に遊んだが
非常につまらない人間ばかりであった。
では何故、爽とは関わっているのか。
ぶっちゃけ、爽と関わるつもりはさらっさらなかったのだが、
2年で同じクラスになった時、
団体行動をする人間によくありがちな習性、
"自分と同じような人間を見つけてグループを作る"。
そこで程々に不良をやっていて、女が多く、顔が良いグループの
リーダーらしい爽に声を掛けられたのであった。
上の3つは大体あてはまってはいるが、
"人間性"というレベルではくず同然な奴等と
行動を共にするなど考えたくもなかったので、
すぐに離脱しようとしていた。
が、グループ内でも更に格付けがあり分裂する。
そこで爽と流雨で行動することになった。
一学期が終わった頃に、爽が口にした話に興味を持ったのである。
それが、例の3人の関係だった。
爽と天と晴。
だから俺は爽の"友達"をやっている。
面白いから。
きっとこれからどんどん面白くなるはず。
(けど、今日は全っ然、面白くねぇ)
「紅城君、だよね?」
流雨の席の隣の女子が声を掛けた。
「そうだけど?」
「紅城君ってクラス全然来ないよね。私2年の時クラス一緒だった美山春香。」
(美山、春香・・・?あーたしかすごい美人って2年の時、爽たちが騒いでた女。)
「あー、わかるよ。」
「よかったぁ。実はさー私、2年の時から紅城君、気になってたんだよね」
(ああ、なるほどね。そういうことか。)
「全然、話したことないけどさ、付き合ってから仲良くなるのもありかな、なんて」
(あー今でも腹立ってるのに、これ以上苛々させないでよ・・・)
「だから、私と付き合わない?」
「ふざけないでくれる?」
「え・・・?」
「俺さー低脳で馬鹿な女、悪いけど無理なんだよね。」
「ちょ、それどういう意味よ!」
「あーもう馬鹿だよね。馬鹿だって言ってるの。いくら可愛くても馬鹿な女はブスにしか見えねーよ」
ガタン、と流雨の座っていた椅子が、音を立てた。
「ちょっと!何処行くの紅城君?!」
「何処って、いつもの所」
「え、あ、わかったわ。でもいきなりどうしたの?」
「ちょっと胸糞悪くなっただけ。じゃあね。」
(あーあ。授業サボっておけばよかった。)